先日、北島さん虫好きやからあげますー!と頂いた招待券をもって「蝶と甲虫展」へ出向いた。

閉館間際だったこともあり、人がいない。しかしまあ、リアルに標本なんで、蝶の腹に生えてる毛まで見えるわけで。わりかし足早に見てたわけです。

微妙な距離におばちゃんひとり発見。

彼女から何かがビンビンくる。

これは、気合い入れないとくるな。色恋の感はないがこんな感はだいたいあってる。その感を回避すべく、私は彼女を追い越すことに決めた。

彼女を追い越す瞬間、そこが勝負どころ。しらーと、まさに蝶のように優雅に追い越すはずが、やっぱり、きた。

待ってましたとばかりに、虫取り網にかかるように。

なあ、おねーちゃん。

ひぃ、きたぁー!話しかけられたぁ!

ここはひとつ、にっこり作戦で通りすぎようとした瞬間、彼女から出た
ことばは
「おねーちゃん、楽しい?」

うわっ、想定外!
きれいやねーみたいな、共感モードかと思っていたら、まさかの、今の気分についての質問かよ。

「いや、毛とか生えてて少し気持ち悪いですね」

な、何を今の気持ち正直に告白してんだ、わたし。

「あはは、そうか。おねーちゃん一緒にギフチョウ探してや」

あ、はい。

ここにいる虫を捕まえたのは、普通の大阪のおばちゃんかもしれない。

一瞬の迷いは、確実に網にかかる。