事務所の扉(1階路面)を開けた瞬間、
一反もめんのような白い浮遊物が
私の頭の上を通りすぎた。

次の瞬間、その得体の知れない白い浮遊物は
自転車で道行く健全な大阪市民に襲いかかった。
まるで行く手を阻むように、彼女に覆いかぶさったのである。
自転車で転びそうになりつつも
必死で振り払おうとする彼女。

というようなことを私は、事務所の扉に隠れてみていたのでした。
だって、事務所扉付近に干してあった雨カッパが
風にあおられて飛んでいったことは
最初からわかっていたし、
今慌てて私がそれを追いかけると
彼女もよりパニックになって怪我でもしたら大変だもの。

なにより「一反もめんみたいな河童に襲われてはるぅぅぅ」と
笑いが止まらない姿では出ていけなかったのでした。
奇跡の瞬間でした。